【産経新聞社】~スイーツ物語~周囲の助けなくして受賞なし (2010.10.7 夕刊)

 
9月29日、若手技術者の登竜門として伝統と歴史ある大会「西日本洋菓子コンテスト」が開催されました。51回目の今年の会場は京都市中京区の「大和学園 京都調理師専門学校」。大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山、岡山の各洋菓子協会に所属する会社(お店)の技術者が、実技3部門と持込み4部門で熱い闘いを繰り広げました。

 表彰式では、受賞者たちが神妙な面持ちで式辞を聞き、表彰を受けます。私は毎年この撮影をさせていただいていますが、優勝者の瞳には揺らぎがまったくありません。技術の研鑽(けんさん)を重ね、努力と忍耐の末、頂点を極めた人の風格でしょうか。じっと一点を見つめ、喜びの実感をかみしめる視線の先には次なる目標がすでにあるのでしょう。

 今回の大会審査副委員長は、「ワールドチョコレートマスターズ 2007」で優勝された京都府出身の水野直己氏が務められました。式の最後にあいさつをした彼は、技術面、メンタル面での注意点について語った後、「このコンテストへ参加するチャンスを与えてくれた会社(お店)、仕事仲間への感謝の気持ちを忘れないでほしい」と語りました。

 大会までの練習や作品の製作期間、夜遅くまで仕事場を開放してくれた会社(お店)。早く練習にかかれるようにと、仕事の段取りを工面してくれる仕事仲間、作品に対する助言、指導をしてくれる師匠や先輩。どんな天才もこうした助けがなければ、結果を残すことはできません。

 水野氏もまた、平成16年、17年にジャパンケーキショー銀賞、17年に内海杯金賞(世界大会日本代表選考会)とステップアップして、19年に“世界一”となった人。あこがれの先輩の言葉は会場内の受賞者たちの胸にしっかりと届いたことでしょう。(関西スイーツ代表/三坂美代子)

【写真説明】「西日本洋菓子コンテスト」に出品されたスイーツをみる来場者ら