#003 上田嘉規さん[パティスリー リッチフィールド]

今回の「Pick Up!次世代のパティシエたち」は、パティスリーリッチフィールドの上田嘉規さん。
2007年、2008年と連続で「ジャパンケーキショー 味と技のピエスモンテ部門」で銀賞、銅賞を受賞されました。
お忙しいお仕事の合間をぬって、直撃インタービューにご協力頂きました。


上田 嘉規さん

☆プロフィール
上田 嘉規うえだ よしき
[パティスリーリッチフィールド]

奈良産業大学卒業
大阪あべの辻製菓専門学校卒業

【受賞歴】
■ 2007年
「ジャパンケーキショー」
味と技のピエスモンテ部門の部 銀賞受賞
(写真:下)
■ 2008年
「ジャパンケーキショー」
味と技のピエスモンテ部門の部 銅賞受賞


2007ジャパンケーキショウ銀賞作品【実家はお菓子屋さんです】
実家は祖父の代からの洋菓子店です。父の背中を見ながら育ったものの、子供の頃は意識していませんでした。跡継ぎという意識はないまま、大学に進学、音楽に明け暮れていました。在学中に祖父が他界し、それを機に後継者としての自分の立場を意識し始め、自ら家業の手伝いをするようになりました。大学卒業後、専門学校で学び本格的にお菓子の世界に飛び込みました。そして修行のためリッチフィールドへ。
この仕事が大変なことはわかっていましたし、シンドイことも覚悟の上だったので、辛抱もできました。ラッキーなことに同期がいなかったので福原シェフ直々にあらゆることを学ぶことができました。それが楽しくて仕方ありいませんでした。

【コンテストについて】
専門学校時代から『あめ細工』に興味がありました。入社2年目に西日本コンテストにチャレンジしましたが、搬入前に作品が崩壊、エントリーすらできませんでした。ジャパンケーキショウではその時の失敗をバネに「とにかく絶対壊れない作品を作ろう!」と思いました。
福原シェフのご厚意で社外の先輩(ナチュールシロモトの城本シェフや、元町ケーキの大西シェフ)にもご指導頂きました。フランス研修も経験させて頂き、憧れのMOF オリビエ・パジャール氏のあめ細工の授業も体験できました。

『あめ細工』を作っているときは何をしている時よりも楽しい。これに打ち込んでいるときが一番気持ちが安定します。だから、日本一になりたい、世界一になりたいという気持ちでやっているのではありません。自分自身が最上の状態でいられるために、『あめ細工』を続けたいと思っています。
リッチフィールド店内【かけがえのない経験】
ある時期からお菓子を作ることが楽しくなくなっていた。西神店のOPENに伴い、仕事が忙しくなり、それこそ寝る間もないほど働きました。辛くはなかったが、楽しさを見失ってしまっていました。

そんな時、シェフの友人北川シェフのお店、「パティスリーキタガワ」のOPENの手伝いに行くことになりました。北川シェフの、その完璧というべきOPENまでの準備のステップを全て勉強させていただき、職人として、経営者として、一から教えていただきました。
お菓子を単につくることだけではなく、全てのことが、人生の色々なことに結びついていくのだということを教えていただきました。この経験をした後、職場に戻った自分は楽しんでお菓子を作っていることに気がついたのです。

【わたしの未来】
今はまだここで学ぶことが沢山ありますし、父もまだまだ現役で頑張ってますし(笑)。福原シェフからの信頼を裏切らぬよう、日々努力していきたい。福原シェフの夢を私たちが叶えたいという気持ちです。

でも、何年後かわかりませんが、将来、自分に自信が持てる日がきたら、家業を継ぐことになると思います。私の実家のある町は今ちょっと寂れてきています。だから、地域が活性化するぐらいのお菓子屋さんをつくりたい。もう一度輝いていた時代のお店と町に戻すために、自分は働きたい。と思っています。
リッチフィールドロゴ
【リッチフィールド 福原シェフからのメッセージ】

彼に初めて会ったとき、温かさを持ち合わせた男だと思いました。同じお菓子屋の息子としての立場、家業を思う気持ちなどが伴い、技術者として、経営者として彼を育てたいという思いに駆られました。休日を全てコンテストにあて、頑張っている彼。が、それを商売の武器にせず、お菓子作りを楽しむことに置き換えているところがすばらしい。部下からの人望も厚く、『上田さんの言うことなら・・・』と皆が納得のうえで仕事をしているようです。彼もそれに応えるべく、責任のある仕事振りを続けていますね。

自分がチャレンジしなかった世界に挑む彼を応援します。道具などのハード面での環境だけでなく、勉強をする機会も積極的に設けてあげたいと思っています。彼には私の夢を叶えてくれているという思いすらあります。それと同時に、私の経営スタイルを彼にもっと伝えたい。お店は人が育ってこそ、お客様が集まってきてくれる。そのために経営者は何をすべきか・・・を今の彼はわかってくれているでしょう。上田氏と福原シェフ

↑左・上田さんと右・福原シェフ


リッチフィールド
【リッチフィールド 西神店】
〒651-2275 神戸市西区樫野台5丁目4-6