モンブランKOBEの「おもてなし半熟チーズ」
無意識が要求する味
モンブランKOBE(神戸市西区)は今年で創業50年を迎えた。社長の松田安正さん(48)は「一流のホテルのシェフの元で職人かたぎや礼儀節度を学ばせたい」という創業者の父の意向をくんで大阪のホテルプラザで修行した後、平成元年に後を継いで経営者となった。
加古川店のリニューアルを皮切りに多店舗展開に着手し、現在は全国に14店舗を構える。プラザ出身者中心に運営しているパティシエの技術向上を目指す組織「ヌーベル・パティスリー・デュ・ジャポン」にも参加。常に最新の技術や素材を取り入れた商品開発を心掛けている。
「おもてなし半熟チーズ」は今年、手軽に食べられるおやつシリーズの第1弾として開発された。松田さんが、チーズケーキで名をはせたホテルプラザの配合をもとに、飽きのこない味と食べやすさを追求し、現代のおやつ風にアレンジした。おいしく焼けるようにと、円形の型を別あつらえし、大きめの満足感あるボリュームにした。
軽くて食べやすいタイプと、濃厚でコクのあるタイプの2種類のナチュラルチーズの特性を生かして独自にブレンド。キレの良いチーズ味をあっさりと感じさせる。口どけをよくするために軽いタイプの粉を選び、量も控えめにした。チーズケーキの半熟感を残すため、オーブンから出した後、生地自体の余熱で固まらないように、一気に冷やすのがポイント。鮮明なチーズの風味もこれにより、十分に生地の中に閉じ込められているようだ。
カジュアルなおやつとしてのチーズケーキは、軽く仕上げるためチーズ本来のうまみの脂質を控えなければならない。しかし、チーズ風味を最大限に引き上げることで、相反する要素を絶妙にバランスさせている。
ふわ~っと漂うチーズの香りはゆっくりと楽しみたいが、口どけの速さに追い立てられるかのように、パクパクと素早く口に運び、あっと言う間にのどの奥へと消える。滑らかな舌触りの記憶が無意識に要求しているのか?
会話に夢中になっていると、もう1つ、2つと、つい手が出てしまう。
「人と人との絆が希薄な現代、この丸いケーキで感謝の輪を広げたい」と松田さん。父と師匠の教えは技術だけではなく、お菓子作りの精神にも引き継がれている。
(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)
「おもてなし半熟チーズ」6個入り1050円
【もうひとこと】おやつシリーズは今後、プリン、ブッセ、レーズンサンドなどのアイテムが登場するそうです。
モンブランKOBE セントラル店
【住 所】神戸市西区上新地1の1の2
【電 話】フリーダイヤル0120・175519
【営 業】午前10時(土日祝は9時半)~午後8時、元日のみ休み
【最寄り駅】JR大久保駅