みかげ山手ロールの「贈(おくり)ロール」
コミュニケーションが生む最上級の進物
神戸御影の「みかげ山手ロール」は平成21年にロールケーキ専門店としてオープンした。白黒を基調としたシックな配色の店に入ると、ショーケースに整然と並ぶ彩色豊かなロールケーキの丸いフォルムの連続が目に飛び込んでくる。併設されたガラス張りのキッチンに目をやると、白い壁と白衣のパティシエ、ステンレス製の製菓器具などの白と銀の空間に、焼き上がった生地や仕上げに使うフルーツが浮かんで見えるようだ。
キッチンは外からものぞくことができる。「ご近所の子供たちが手を振ってくれたり、そのお母さんに会釈したりしてコミュニケーションができるので、毎日楽しく仕事ができます」と語るのは製造スタッフの有坂友希さん(24)。ガラス越しのお客さんとのやりとりが、仕事の糧になっているのだ。
贈(おくり)ロールは2年前、「進物用のロールケーキがほしい…」とのお客さんの声に応えて開発されたバタークリームを使用した日持ちのするロールケーキだ。「シューロール」の生地はシュークリームのシュー生地を平らなシート状に焼いたものの上にバタークリームを薄く塗り、その上に通常のロールケーキ生地をのせて接着させる。その際、生地の焼き面(つら)が残っていると、浮きが生じてクリームをはさんだときに生地と離れてしまうため、あらかじめナイフで丁寧にそぎ、見た目にも美しく、生地の表面にクリームが浸透しやすくなるように一手間かける。
「シュー生地はデコボコがあって、薄いところを引っ張ると破れやすいので、慎重に扱っています」と有坂さん。
バタークリームの軽さと滑らかさが際立つ。水分を含み少し柔らかくなったシュー皮の生地は弾力があり、歯応えの良さがアクセントになっている。しっかりとかむことによりシュー生地の香ばしい焦げ味や、ロールケーキ生地の卵のうまみが生きてくる。さらに、シュー生地に含まれるわずかな塩分がバターの味を引き締め、重くなりがちなバタークリームをキレ良く仕上げている。
タイプの違う2つの生地は、バタークリームが味と形の要となり「シューロール」として完成し、ギフトに欠かせない同店の看板商品となった。「贈ロール」シリーズは、商品開発のきっかけを与えてくれたお客さんへあてた専門店の名に恥じない最上級の贈り物なのだ。
(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)
「贈ロール『シューロール』」1本1260円、1カット189円
【もうひとこと】贈ロールシリーズは「はちみつロール」「シューロール」「アーモンドロール」「ダブルロール」の4種類があります。
みかげ山手ロール御影本店
【住 所】神戸市東灘区御影1の14の31
【電 話】078・856・7455
【営 業】午前10時~午後8時(年中無休)
【最寄り駅】阪急御影駅、阪神御影駅