ワーフルハウスの「ストロープワッフル」
ライブ感覚で伝える「ぬくもり」
オランダの手作りワッフルの店、ワーフルハウスは神戸六甲に店を構える。オランダ人オーナーのマルコボスさん(52)は神戸大に留学中、現夫人と出会い、世界各地を旅した後、シンガポールでIT企業を設立した。仕事は順調だったが、子供ができると、日本語教育のため、学生時代を過ごした神戸・六甲に居を移した。IT業界は精神的なストレスが多く、「もっと楽しく仕事がしたい…」と、誰もが笑顔になるお菓子の仕事を思いつき転業した。
ワッフルの知識はほとんどなかったが、ワッフルメーカーを購入し、試作を重ねた。生地を少量作ってすぐに焼く家庭用のレシピは簡単に入手できたが、大量に仕込み、長時間にわたって生地を少しずつ焼く業務用には適さなかった。さらに、間に挟むキャラメルの甘味やとろみの味の決め手となる原料のオランダ糖蜜が手に入らず、日本で入手できるこれの代替品を見つけるのも困難を極めた。苦心の末、生地とキャラメルがやっと完成し、販売を始めると、新たな問題が…。
オランダでワッフルの定番はシナモン味だが、店頭で販売をはじめると、意外にも、シナモンが苦手な日本人が多いことに気が付いたのだ。そこで、バニラ、オレンジ、ゆず、抹茶などの生地のバリエーションを増やして対応した。
丸めた生地をワッフルメーカーの鉄板の上に載せ、薄く焼き上げる。これを丸い型で抜き、半分の厚みにスライスして、その間にキャラメルをたっぷりと塗って再びあわせる。
焼きたてのワッフルはやわらかく、手で割ると中のキャラメルが長く糸をひく。やわらかいキャラメルのなめらかな舌触りがたまらない。キャラメルに生地のシナモンの香りが出合うと、スキッと味をシャープにする。冷めると固まり、サクッとクッキーのような軽い食感となる。
オーダーするとマルコさんが目の前で生地をワッフルメーカーにのせて焼いてくれる。焼きたてのホカホカの生地を手早くスライスし、キャラメルをたっぷりとはさみ、紙にはさんで手渡される。「はい焼けたよ。熱いから気をつけてね」。手渡される焼き立てのワッフルのぬくもりは、国は違えど、街角の回転焼きやたい焼きのようなライブ感覚。若者が多いこの街で、ともすれば失われがちな「会話」も重要な味である。
(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)
「ストロープワッフル」1枚入り100円から
【もうひとこと】マグカップの直径にピタリと合います。温かい飲み物を入れて、ふた代わりに1枚のせて…。数分待つと、やわらかい焼きたてのワッフルがよみがえります。
ワーフルハウス
【住 所】神戸市灘区宮山町2の5の2
【電 話】078・858・6663
【営 業】午前11時~午後6時(日曜定休)
【最寄り駅】阪急六甲駅