なかたに亭「パレ・オ・ショコラ フリュイ・セック」
思いが高じた究極の円盤
薄い円盤状のチョコレートの上にたっぷりと盛り付けられているのは、アプリコット、イチジク、マンゴー、晩柑(ばんかん)と、4つのドライフルーツ。オーナーパティシエの中谷哲哉さん(54)は、彩りの美しさを意識してチョコレートにフルーツを盛り付ける。
使用するチョコレートは、世界的に有名なフランス・ヴァローナ社の「マンジャリ」。マダガスカル産の最高級のカカオ豆を使ったブラックチョコレートで、マダガスカル語で「おいしい」、サンスクリット語で「香り」を意味する。ラズベリーなど赤いフルーツのように香り高く甘酸っぱくて、フルーツとの相性も抜群だ
フランスや日本のレストランで修業経験のある中谷さんはスパイスやハーブなどにも精通しており、それらを巧みに駆使したスイーツを作り続けてきた。「その道を究めようとすればするほど、チョコレートへの思いが高じて…」と、今やショーケースの半分はチョコケーキが占め、チョコレートやチョコレートタルト専用のショーケースもある。
溶かして温度調整をしたチョコレートを手作業で搾り出す。重要なのはチョコレートの厚みだ。フルーツが主張しすぎないギリギリの厚さを追求した。フルーツの形状は個体により差があるが、製品の味を同じ状態に安定させるため、それぞれのフルーツが同じサイズになるようにカットする。
脂質の高い料理に添えたり、ソースに使用されたりすることも多いイチジクやアプリコットは、チョコレートに含まれるカカオバターにもよく合う。マンゴーが持つトロピカルフルーツ独特の鮮烈な味と香りと、晩柑の強い酸味をチョコレートが中和する。まるでミックスジュースのようにいろいろな味が混ざり合うおいしさが口中を駆け巡り、最後にはしっかりとチョコレートの存在を満喫できるのだ。
まだまだ一般的には知られていないが、チョコレートも鮮度が大切。作りたてのおいしさは格別である。
(文と写真 「関西スイーツ」代表・三坂美代子)
《もうひとこと》カフェのハーブティーでいただく作りたてのチョコレートケーキも格別です。
なかたに亭
【住 所】大阪市天王寺区上本町6の6の27
【電 話】06・6773・5240
【営 業】午前10時~午後7時(月曜、第3火曜定休)
【最寄り駅】近鉄大阪上本町駅、地下鉄谷町九丁目駅
産経関西 スイーツ物語 04.19 12:45