【産経新聞社】関西甘味(スイーツ)図鑑(2014.4.26朝刊)

ラ・パティスリー・デ・レーヴ 「果実の花束」

ラ・パティスリー・デ・レーヴ 「果実の花束」
486円~(3本~)

ラ・パティスリー・デ・レーヴ 「果実の花束」

懐かしいけど未知の新境地

 「ラ・パティスリー・デ・レーヴ」は「夢のお菓子屋さん」を意味する。フランス・パリに本店がある同店オーナー、ティエリー・テシエさん(49)は、ホテルやレストランを経営する企業家。スイーツの店をつくるきっかけは、パリの有名菓子店に立ち寄った際、自身の子供が車から降りずに「パパ買ってきて」と言ったことだった。子供にとって夢の空間であるはずのお菓子屋さんが、ときめく存在でなくなっていることに衝撃を受けた。「子供がわくわく目を輝かせ、大人も思わず笑みがこぼれるような夢のあるお菓子屋さんをつくりたい」

 商品開発コンサルタントとしてフランス内外で活躍するフィリップ・コンティチーニさん(50)をディレクティブシェフに招き開店。コンティチーニさんは、クラシックなお菓子を現代の材料と技術を用いて再構築した「新古典菓子」と呼ばれるジャンルを開拓した。店には、誰もが知っているお菓子が見た目に新しいカタチとなって並ぶ。その味はどこか懐かしいが、未体験のおいしさだ。

 店内は従来のお菓子屋さんのレイアウトとは違い、異次元の空間のようだ。天井からつり下げられたいくつものガラスドームの中に1種類ずつお菓子がディスプレーされている。真っ白な空間の所々に配された鮮やかなピンクがアクセントになり、お菓子の愛らしさが映える。

 「パート・ド・フリュイ」などのフランスの伝統的なコンフィズリー(砂糖菓子)は、日本ではなかなか人気の出ない商品とされるが、コンティチーニさんはさまざまに工夫を施した。通常は四角いパート・ド・フリュイを球状にし、さらにその中に一段高い濃度のコンフィ(果物の煮詰めたもの)を詰めた。中でもシトロンはガツンとパンチの効いたレモンの酸味が、口中に鮮烈かつ清涼な味を広げる。直径3センチ弱の一口のお菓子から果実1個分の汁が丸ごとほとばしるようだ。サイコロ状の「ギモーヴ」は口どけが良く、グミにも似た食べ覚えのある食感。かむほどに立ち上るフルーツのフレッシュな香りが、緩やかな曲線を描くような感覚で、放射状に円やかな記憶を残して舌の上から消えていく。

 これに棒をつけ、花束のようなラッピングが施される。手ごろな価格とかわいらしさ。日本の伝統的な干菓子か梅干しのように、身近なお茶うけになってほしいと願う。

(文と写真 「関西スイーツ」代表・三坂美代子)

《もうひとこと》23日にリニューアルされ新しい「ラ・パティスリー・デ・レーヴ阪急うめだ本店」になりました。

ラ・パティスリー・デ・レーヴ阪急うめだ本店
【住  所】大阪市北区角田町8の7阪急百貨店梅田本店地下1階
【電  話】06・6361・7721
【営  業】阪急百貨店梅田本店と同じ
【最寄り駅】JR大阪駅、各線梅田駅

産経関西 スイーツ物語 04.27

msn産経ニュース 2014 04.26 09:00