「パティスリー ピラミッド」の「ふわとろチーズ トリュフの反乱」
無限の追求が生む香り
箱に入っているのは、ギリギリの柔らかさだから!夏でもサッパリとおいしく食べられるチーズケーキを開発したのは、ピラミッドのオーナーシェフ、西田明さん(57)。東京の名店「トリアノン」で修業し、29歳のとき、故郷の京都で開業した。現在の店へ移転して10年、大人気の店に成長した。
箱入りチーズケーキを開発したのは6年前。普通のレアチーズではちょっと重く感じる季節になり、口の中でふわっと溶けるような感覚を求めて試作を重ねた末、完成した。しかし、柔らかすぎて普通のケーキのようにカットすることができず、箱に入れてスプーンで食べるスタイルにした。おやつの時間に家族や友達と分け合って食べるシーンをイメージしながら…。このアイデアが受け、最近ではデパートのバイヤーからリクエストが入るほどの人気商品だ。
ある日、知り合いのイタリア料理店でパスタを食べたとき、シェフがトリュフと粉チーズを仕上げにかけてくれた。「んっ?!」と思った西田さんは、「これならチーズケーキに合う!」と早速、黒トリュフをチーズケーキに入れてみた。
しかし、こすったり削ったりして生地に合わせても、今ひとつ味にコクが出ない。キノコ特有のエキスを感じる領域まで味を引き出すため、生クリームと一緒に粉砕することを思いついた。これにより、トリュフの土のような香りまで無駄なくケーキに取り込むことができた。
真っ白なチーズケーキにポツポツとトリュフの粒が点在する。いくつかの欠片が入っていることを確認しながら口に運ぶと、ふわーっとクリームチーズがとろけて消える。
2口目を口に入れる頃、喉の奥からトリュフの熱い味が上昇し始める。「んっ?!」。西田さんの狙い通り、まさに反乱の始まりだ!
ゆるゆるの食感は軽やかで、ひんやりと口中を冷やしながら、チーズのミルク香をゆっくりと広げていく。底に敷き詰めたスポンジの生地に吸い取られるように一体化し、旨みを増幅させる。肉料理などと合わせて温度が上昇した時の蒸れたトリュフの香りとは違い、鋭利かつ繊細な香り。ケーキの甘さをキリッと引き締めた大人味に。
「美味無限=美味しさを追求し続けること」。西田さんは師匠の教えを弟子に伝えながら、自らも実践し続けている。
(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)
《もうひとこと》ワインのあてにピッタリです。トリュフが苦手な方には、オリジナルの「ふわとろチーズ」をおススメします。
パティスリー ピラミッド
【住 所】京都府向日市鶏冠井町門戸9の2
【電 話】0120・814・858
【営 業】午前10時~午後8時(月曜定休、月曜が祝日の場合は水曜)
【最寄り駅】阪急京都線西向日駅
2014.7.27