2014年10月8日~10月10日の3日間で、「モンディアル・デュ・パン」日本代表最終選考会が開かれました。
「モンディアル・デュ・パン」とはフランスで行われるパンの「世界一」を決める大会の一つ。今回の選考会での優勝者がフランス本大会へのチケットを手に入れることができるのです。
日本全国から選ばれた9組の選手たちが、会場で作品を作り、審査員の試食によって点数がつけられます。
選手に与えられる時間はコンクール前日に1時間、コンクール当日に8時間。限られた時間のなかで、日常パン、サンドイッチ、デニッシュペストリー、そして飾りパンまでを完成させなければいけません。
この大会では、「二人一組で若手(22歳以下)のアシスタントとのコンビで競う」「見た目のみではなく栄養面や健康面も評価の対象となる」など、特徴的なルールが設けられています。
普段はパン職人さんたちがお仕事している様子はなかなか見れませんが、みなさん真剣な表情で集中されている姿がとてもかっこいい…!!アシスタントの方との息があったスピーディーな手さばきに、ほれぼれとします。作業中の様子も審査の対象になるそうで、プロの技術を目の前に見ることができ大興奮でした。
「残りあと5分です。」 アナウンスが入っても、みなさん制限時間いっぱいまで手を休めません。会場は緊張感につつまれています。
そして制限時間終了とともに、ずらりと並ぶ審査員の方々。選手から審査員にむけて作品のプレゼンテーションをおこないます。
熟練の職人である審査員の方々を前に、選手も緊張の様子…。
普段の厨房とはまったく違うオーブンや機材、素材を使うので、蒸気や焼き加減がとても難しいそうです。膨らみ方や表面の硬さなどを苦労されたとお話しされていました。そういった繊細な見極めをする高度な技術や経験による判断が必要なんですね。
雑穀、ごま、食物繊維、低脂肪乳など、どの健康素材を選ぶか。バゲットでは、食感や香りをどう楽しませるか。サンドイッチでは、具材とパンのバランスをどうとったか。そして飾りパンは、パンの可能性を広げるような表現をどう実現したか。・・・普段は聞けない職人さんのこだわり。自分が普段なにげなく食べているひとつのパンにも、こんな熱い思いがこめられているんだぁと、改めてパン職人さんに感謝の気持ちがわきました。
作る方も真剣であれば、審査する方々も真剣そのものです。目をひく「飾りパン」のテーマは「日本」。選ぶモチーフに、選手の個性が際立ちます。これがすべてパンでできているなんて・・・!
そしていよいよ、審査結果の発表です・・・!
日本代表最終選考会の優勝者は、谷口 佳典さん(株式会社フリアンド)でした!
谷口さんはフランスで修業された経験をもち、繊細な編み模様が美しい飾りパンが印象的でした。受賞の挨拶では、感極まって涙するシーンも。きっとこれまで並々ならぬ努力をされて、勝ち取った優勝なんですね。
大会の総評として、過去の日本代表 安倍 竜三さんが「全体的な技術の向上は素晴らしい。世界で通用するためには、より斬新さ・奇抜さも高めてほしい。」とエールを送っておられました。
出場された選手のみなさん全員を、パン王子と呼ばせていただきたいくらい凛々しいお姿でした。
フランスで開かれる本大会ではまだ日本代表が優勝したことはないそうですが、ぜひ日本のパンのレベルの高さが認められると嬉しいですね。日本代表の谷口さんのご活躍を心からお祈りしています!
2014.10.14