パティスリー プリュスプリュスの「リシェ」
シンプルな見かけに潜む 緻密な計算
大阪・帝塚山に昨年10月、オープンしたばかりのスイーツ店「パティスリー プリュスプリュス」。オーナーシェフの白川陽介さん(33)は、フランスのリヨン近郊にあるレストラン「ポール・ボキュース」のシェフパティシエを務めた倭文(しどり)八郎さんら東西の有名実力派シェフのもとで修業を重ねた。
「倭文シェフには、専門学校を出たばかりの私に菓子作りの基礎から職人としての生き方を厳しく教えていただきました」と振り返る。
店内には、それぞれのシェフに学んだスイーツが、あるものはそのままの姿で再現され、あるものは白川さん流のアレンジが施された進化形になって並んでいる。
「フランス菓子をベースに和の素材を使ったり、洋酒を控えたりと、日本人の口に合うように工夫しています」
ショートケーキやチョコレートなどの定番ものは2、3点で、週に2、3点の新しいケーキを出している。地元客のリピート率を高めるため、ショーケースの中がいつも変化に富み、新鮮であるように心掛けている。
高級住宅地として知られる帝塚山では、衣食住それぞれに高い質を求められる傾向がある。食に関してはオーガニックへの関心が高く、そうした食材を取り扱う店や料理店も多い。
白川さんも地元出身とあって、オーガニック素材を積極的に取り入れている。
「リシェ」は最近販売を始めたばかりの新商品だ。クリームチーズと自家製のマスカルポーネに、カスタードクリームとナッツ、フルーツ、さらにメレンゲをあわせて、オーブンでゆっくりと焼く。
「中のフルーツやナッツは季節で変化させることも考えています。今は有機いちじくをオーガニックワインでコンポートしたものが入っています」
見た目はいたってシンプルだが、しっとりやわらかな食感とフルーツやナッツの存在感をしっかりと味わうことができる、実は緻密に計算されたベイクドチーズケーキなのだ。
チーズの存在を感じさせず、コクだけを出しているのは、マスカルポーネだ。カスタードの卵が生地を柔らかくして、滑らかな口溶けに。イチジクはコンポートされて、香りが鮮明に立っている。ヘーゼルナッツとクルミのゴロゴロ感も食べるのが楽しくなる。
将来の夢は「恩師から学んだお菓子を、次の世代に引き継ぎたい」。白川さんのお菓子もきっと、誰かに引き継がれていくことだろう。
(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)
<もうひとこと>
白川さんの妻、彩乃さんは、倭文シェフの店で客として出会ったそうです。販売は未経験とのことですが、素敵な笑顔で接客しています。
パティスリー プリュスプリュス
【住 所】大阪市住吉区帝塚山中2の1の10
【電 話】06・6657・5788
【営 業】午前9時~午後7時(水曜定休)
【最寄り駅】南海電鉄高野線 帝塚山駅、阪堺電軌上町線 帝塚山三丁目駅
msn産経ニュース 2014.10.19
産経関西 スイーツ物語 2014.10.19
2014.10.20