【産経新聞社】関西甘味(スイーツ)図鑑(2014.12.20朝刊)

神戸風月堂「新年御干菓子」 ブログ用

「新年御干菓子」は1箱756円(税込み)

神戸凮月堂の「新年御干菓子」

日本の風雅 コンパクトに凝縮

12月13日の正月事始めに合わせて毎年販売が始まる「新年御干菓子」は、和菓子ファンならずとも見るだけで迎春気分が高揚する。神戸凮月堂で明治30年の創業当時から続く人気商品だ。

来年の干支(えと)にちなみ、羊と縁起物、羽子板などを組み合わせ、小箱に収めた。生菓子のように新鮮素材を使わないのに、季節感に富み、デザイン性も高く、常温で日持ちがするので、お土産にも最適だ。

干菓子の中でも和三盆糖と寒梅粉(餅粉)を合わせた生地を片面の一枚型と呼ばれる木型に押し入れ、コンコンと打って取り出したものが「打物(うちもの)」。木彫作品ともいえる精巧な技術で彫られた型は、現在では骨董品としても高く評価されている。

太陰暦で季節を表すために用いられた二十四節気は、和菓子の世界では今も重んじられ、その移ろいに合わせてモチーフを変え、生菓子、干菓子が変化する。

同社では、季節の微妙な変化に合わせて干菓子を展開している。神戸・元町の立地から外国人観光客が多く、日本の伝統や文化をコンパクトに伝承するアイテムを繊細な季節感で表現。日本の窓口としての使命を果たし、絶大なる人気を博している。

日本人の海外へのお土産としての人気も高い。花鳥風月、日本の風雅がコンパクトに凝縮された菓子として世界を旅している。

食べると、わずかな水分で溶け出すやさしい甘味が口中に広がる。舌を刺すような刺激は一切感じられない。年齢を問わず受け入れられる安らかな和の甘味を満喫できる。

ブラックコーヒーと一緒にひとかじり。深い焙煎(ばいせん)香の刺激をまるくまとめ、さらなる香りを引き出す。国境を越え、安らかな味わいのマリアージュが新鮮だ。

だまされたと思って試していただきたいのが、スコッチやバーボンなどとのマリアージュ。しみいるような甘さが心地よいのはもちろん、お酒の香味を引き立てる。

甘いものと一緒にお酒を口にすると、辛くなるのが普通ですが、さにあらず。まろやかな甘味が口中に満ちたままで、お酒の香味が重層的に乗ってくる。

(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)

《もうひとこと》
 型を別注して、オリジナルの干菓子もオーダーできるそうです。引き出物にしてもすてきですね。

神戸凮月堂 元町本店
【住  所】神戸市中央区元町通3の3の10
【電  話】078・321・5598
【営  業】午前10時~午後7時(1月1日休業、2、3日は午前11時~午後6時、4日から通常営業)
【最寄り駅】JR元町駅

msn産経ニュース 2014.12.21

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