【産経新聞社】関西甘味(スイーツ)図鑑(2015.1.31朝刊)

御影高杉の「御影ロッシェ」

御影ロッシェは1080円(税込み)

御影高杉の「御影ロッシェ」

衝撃の食感と芳香のハーモニー

 
御影石を模したチョコレート「御影ロッシェ」は、神戸市東灘区御影の有名フランス菓子店「御影高杉」の人気ギフト商品だ。平成8年に開店。御影の地名を全国に広め、地元の方に親しみを持っていただこうと、名産の御影石をチョコレート菓子に仕立てた。

考案したのは高杉良和さん(62)。老舗洋菓子ブランド・本高砂屋の高杉事業本部として店を運営している。21年度には現代の名工に選ばれ、名実ともに神戸スイーツを牽引(けんいん)する実力者だ。開店後まもなく、テレビのコンテスト番組で優勝。店の知名度は高まったが、その所在地の御影は県外ではほとんど知られていなかった。
そこで「この地で長く愛される店になりたい」と願いを込め、地名を冠した商品を開発した。

「開店当初の店名は漢字二文字の『高杉』でした。外国人の友人に『蕎麦(そば)屋さんみたい…』と酷評で…」と苦笑いの高杉さん。

御影との縁を大切に、敬意を表して「御影高杉」と改名。以来、地元に愛され成長してきた。

「御影ロッシェ」は縦11センチ、横13センチ、厚さ1センチほどの板状のチョコレート。苦みのあるスイートチョコレートにアーモンドチュイール(クッキー)、メレンゲを閉じ込めている。

ガツン!と堅い食感は、衝撃的だ。ジャリっとした歯ごたえのメレンゲは、小麦粉を加えることで、いっそう食感をよくしている。これにアーモンドのカリッと感や、チョコレートのとろみ感、オレンジピールのねっとり感が重なる。

アーモンドの香ばしさが鼻に抜け、ローストしたくるみが続く。ベースとなるチョコのカカオの香味とオレンジの芳香、ヘーゼルナッツの香りが余韻となって残る。歯触りも味わいも、すべてが重層的だ。

「販売当初は小さく砕いていましたが、御影石のような存在感を出すため、一枚岩のように大きく成形しています。カットする時に割れが生じやすく、ロスになることもありますが、何よりもお客さまの満足度、製品の完成度を上げることを優先しています」

高杉さんは、さらに新しいチョコレート菓子を開発中だ。70年近く前、日本に洋菓子文化が伝来して以来、菓子の基本形は変わっていないが、日本人の舌や嗜好(しこう)は大きく変化しており、それに対応した現代風の仕上げを目指している。

(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)

≪もうひとこと≫
大阪・難波の高島屋大阪店では、バレンタイン商品を販売する「関西スイーツブース」で来月7日から、これまで関西甘味図鑑で紹介した商品の一部を発売します。
店でも販売されます。

御影高杉 御影本店
【住  所】神戸市東灘区御影2の4の10の101
【電  話】078・811・1234
【営  業】午前10時~午後8時(不定休)
【最寄り駅】阪急御影駅

msn産経ニュース 2015.1.31

産経関西 スイーツ物語 2015.1.31

2015.2.3.