橘がつなぐ菓子文化 ‐お菓子の起源「橘」を知る‐

 

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先日ご案内しました「橘」をテーマにした講演会に参加してきましたのでレポートします★
古事記や日本書紀の時代の言い伝えから「日本の菓子の元祖」と言われる「橘」の実。
お菓子と地域文化・資源を掛け合わせる「橘街道プロジェクト」の一環「橘」をテーマにした講演会が、11月11日(水)元町の風月堂ホールにて開催されました。

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■「橘」について

橘は日本固有の柑橘種の実です。(沖縄のシークワーサーも同じく日本固有種です。)5月頃に花が咲き、10月下旬頃から黄色く色づきはじめます。優しく甘い香りが特徴で、美しい緑の葉からもよく香るようです。
しかしそのままでは、酸っぱくて(かぼすに似ているそうです)、食用には不向きではありますが、ジャムやこの日いただいた和菓子などに使用すると、とてもいい香りで、程よい苦味も見事に表現されていました。

写真左:しっとりとした餡の中に刻んだ橘が入っています。DSC_0529
写真右:お砂糖に包まれていて、シャりっとした表面に、上部分には刻んだ橘の皮が入っています。

(※店頭販売されている商品ではございません。ご了承ください。)

 

 

 

 

■なぜ「橘」がお菓子の神様なのか
日本書記によると、およそ2000年前、第十一代垂仁天皇(すいにんてんのう)に田道間守命(たじまもり)が、命じられ非時香実(ときじくのかぐのみ)=「橘」を持ち帰ったとされています。この橘が菓子の最上級品とされたことから(古代の菓子は「果物」に意味があることから)お菓子の神様として各地の菓祖神社に祀られています。兵庫県豊岡市にも田道間守命が祀られている神社、「中嶋神社」があります。祭礼は4月第3日曜日に行われ、菓子祭とも橘花祭(きっかさい)とも呼ばれ、全国の製菓業者が多数参列し、業界の繁栄を祈願されるそうです。そのほかにも和歌山県海南市にある「橘本神社」も菓祖神社として田道間守命が祀られています。

 

■「橘」を身近に感じる20151111_151606_763
橘の紋章やマークは私たちの身近にあります。
500円玉にも橘の実と葉のマークが入っています☆
吉武先生もこの事実を発見された時はとても驚かれたそうです。

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「橘」が古くから日本の文化に深く関わっていていたことを裏付けるエピソードとしては文化勲章のデザインに使用されたり、お雛祭りの飾りに使用されたり、京都御所紫宸殿の「左近の桜」「右近の橘」などがあげられます。又、おめでたい席の女性の着物の柄などにも使用されていたそうです。

DSC_0535←明治に使用されていたとされる菓子木型

■絶滅危惧種の「橘」
自然界における橘の樹は今現在、高知県松尾山、三重県答志島、静岡県戸田地区などごくわずかにしかありません。(中には国の天然記 念物に認定されているところもあります。)現在、奈良県の「なら橘プロジェクト推進協議会」が2013年12月設立され、植樹を開始し、少しずつ増やしていく取組 をされています。今年は植樹を始めて初の収穫祭を開催されます。

 

■「橘」を見に行こう♪
「橘」の樹や実を実際に見たことのある方は少ないと思いますが、神戸でも見ることができます!!
【湊川神社】・・・楠木正成を祀る神社。(橘氏の出だと言われています。)
湊川神社には「橘」の紋章が入った瓦もあり、周辺の住所には「橘通り」という名がついています。
2本ある橘の樹は今が見ごろですので、お参りに行かれた際には橘の香をぜひ体験してみてください。
【神戸布引ハーブ園】
こちらの庭園にも3本ほど、橘の樹があるそうです。ハーブと共にいい香りで癒されてみてはどうでしょうか?

2015・11・12

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橘がつなぐ菓子文化

香りのデザイン研究所所長
別府大学客員教授
吉武利文氏
橘街道講演会20151111チラシ