東大阪市の洋菓子店、シェ・アオタニの看板商品のひとつがカステラです。
オーナーシェフ、青谷展行さんは2003年、現在の店舗に移転したとき、修業時代に作っていたカステラを復活させ、店頭に並べました。
もちろん学んだままではなく、素材にこだわり、製法にも磨きをかけて納得いくものに仕上げました。いつも素材選びには必ず産地を訪ねるそうです。カステラに使う卵もあちこちに出向き、卵かけご飯にして吟味し、三重県の有精卵にたどり着いたそうです。
自信たっぷりのカステラですが、初めはなかなか売れませんでした。
店頭で試食に出したりしながら、徐々にファンを増やしていきました。
また、あんこ好きが高じて、昨年6月に和菓子店「展」をオープンをしました。「心花庵(ときめきあん)」という茶席が設けられ、お茶のお点前で、ゆったりと和菓子が楽しめます。
「展」の開店準備期間はわずか1カ月。洋菓子店の和スイーツではなく、和菓子店としての和菓子を作るため、最初は失敗の連続。和菓子の先生に学び、試行錯誤を重ねてやっと完成した商品もありました。また、毎日製造するにはスタッフの手を借りなければなりません。
和菓子を作る手の動きは独特。製パンの経験のあった青谷さんはまだしも、洋菓子の経験しかないスタッフは大変な苦労をしたそうです。
青谷さんは腎臓疾患で闘病中。病気と上手に向き合いながら、エネルギッシュに仕事をしています。
「一人では何もできない。家族やスタッフがいてくれてこそ」と、感謝の気持ちも忘れず、彼らの期待に応えるためにも両店、さらに新たに出店する京阪百貨店住道店も、もり立てていきたいと意気盛んです。(関西スイーツ代表/三坂美代子)
写真:青谷さん(右端)と「展」を支えるスタッフ
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