【産経新聞社】~スイーツ物語~ユーハイムを支える職人気質(2009.12.9 朝刊)

 
11月9日、早朝の六甲アイランドに「工芸菓子運搬中」と張り紙をした車がそろり、そろりと集まってきました。50年以上の歴史がある兵庫県洋菓子協会主催「クリスマスケーキコンテスト」の当日です。

 今年の出品は105点。参加者の多くは日々の仕事を終えてから、何ヶ月もかけて作品を制作します。作品作りもさることながら、搬入にも神経をつかいます。繊細な細工のお菓子を壊さないように運びこまなければならないからです。作品を降ろすときに壊してしまい出品できなかった経験を持つ人も多く、「今年は壊れないものを作るのが第一目標」との声を聞くことさえあります。

 ユーハイムも神戸工場長、安藤明さんの陣頭指揮の下、慎重に搬入を終えたのでしょう。今年、ユーハイムは「「経験5年以上の部」で1,2位を独占しました。1位の加藤正太さん、2位の足立和美さんは表彰式後のインタビューで会社や先輩、仲間への感謝を真っ先に語りました。一番喜んだのは安藤さん。昨年は残念な結果に終ったので、「今年は思い残すことのないところまで努力しなさい。努力しすぎることはないんだから」と指導され、見事、結果を出しました。

 安藤さんは1991年洋菓子のワールドカップ「クープ・ド・モンド」で世界一に輝いた日本チームの一員。61年に入社以来、ドイツマイスター資格を取得、国内外で数多くの賞を受賞されています。頂点を極めてなお、努力し続けたからこその重みのある言葉だと思いました。そして、若い彼らが安藤さんの技と心を受け継いでいきます。ユーハイムといえば大企業の工場製品のようなイメージを抱かれるかもしれません。でも、実際は彼らの職人気質に支えられているのです。(関西スイーツ代表/三坂美代子)
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