なかたに亭の「デュオ」
=ミルクとダークの二重奏=
「深紅に彩られた箱を開けると、ミルクとダークのコントラストが目に飛び込む。濃淡の褐色の二重奏(デュオ)。バレンタインデーにふさわしい高級感を漂わせる、新作のチョコレートだ。
「2種類のチョコには、こだわり抜いたカカオを使い分けているんです」。こう話すのは大阪・上本町のパティスリー「なかたに亭」オーナーパティシエ、中谷哲哉さん(53)。
ミルクチョコにはバナナを連想させる芳醇(ほうじゅん)な風味を持つエクアドル産のアリバ種、ダークチョコには華やかな花の香りを漂わせるペルー・アプリマク地方のものを使用。いずれも生産量が限られた希少な原料という。
中谷さんは、フランスや日本のレストランで修業した経験からスパイスやハーブなどにも精通し、それらを巧みに駆使したスイーツを作り続けてきた。
「その道を究めようとすればするほど、チョコレートへの思いが高じて…」との言葉のとおり、今やショーケースの半分はチョコケーキが占め、チョコレートやチョコタルト専用のショーケースも。
ショコラティエとしても注目される中谷さんの自信作がこれ。少し口に含むと体温で溶け出し、脂肪分が甘みを奏で始める。
もうひとこと バニラの香りが利いたミルクチョコは、あくまでも優しい。スモーキーかつ独特の渋味が大人の雰囲気を醸し出すダークチョコは男性的な味わいだ。口の中に漂う重奏感に、しばしうっとり。チョコ好きなら誰もが中谷さんの魔術に魅了されること間違いなし。
(三坂美代子)
【住所】大阪市天王寺区上本町6の6の27
【電話】06・6773・5240
【営業】午前10時ー午後7時(月曜と第3火曜定休)
【最寄り駅】近鉄大阪上本町駅、地下鉄谷町九丁目駅)