エクチュアの「塩チョコレート」
=舌先で微妙な味の変化=
「大 きな塊のままほおばらんといてね」オーナーショコラティエ、植松秀王さん(57)の言葉に従い、3センチ角程度の薄い断片を、さらに小指の爪の先ほどのサ イズに割って舌に乗せた。
舌の先は甘味と塩味を最も敏感に感じる部分。塩のうま味がスパイシーなカカオの芳香をぐっと引き立てる。
「これが塩チョコレート」。ファンを魅了する味に、ただ納得した。
外観は、薄く延ばしたチョコに天然塩の結晶が点々と浮いているだけ。無造作にばらまかれたように見える塩だが、実は、量や粒の大きさ、密度が計算し尽くさ れている。「有名な外国産よりも国産ものがピタリと合った」。日本人の味覚には日本の風土由来の塩が適しているのだろうか。
塩チョコレート(50グラム)はビター、ミルクがあり、各893円。セットで1785円 カカオ豆は複数の産地のものを厳選し、独自のブレンドが施されている。チョコの厚さは「試行錯誤の末、1・5みろが最良の口どけ」と植松さんは言う。
「エクチュア」は26年前に創業。当時、欧米では大人が愉(たの)しむものだったチョコレート、日本ではもっぱら子供用の流通菓子だった。植松さんは、自らが魅せられたチョコ本来の愉しみ方を浸透させたいと一念発起し“本物”のチョコが年中買える店を開いた。
そして生まれた名物・塩チョコレートは、ほんまに「ええ塩梅(あんばい)」。
(三坂美代子)
【住所】大阪市中央区谷町6-17-43「練(れん)」内
【電話】06-4304-8077
【営業】午前11時-午後10時(水曜定休、日祝は9時迄)