【産経新聞社】大阪甘味(スイーツ)図鑑(2012.11.3朝刊)

きになる木リッチフィールドの「マウントデコ」「マウントボコ」

こだわりの“年輪”に2つの食感

バウムクーヘンは生地の硬いタイプと軟らかいタイプに分かれ、それに伴い好みも分かれるところ。そんな両方のニーズに応えるべく誕生したのが、神戸 の人気洋菓子店が阪急百貨店梅田本店に出した店舗「きになる木リッチフィールド」のオリジナルアイテム「マウントデコ」「マウントボコ」だ。

オーナーパティシエの福原光男さん(57)は神戸の洋菓子店「ボックサン」の創業家の次男。「父から数々の菓子作りを教えてもらいましたが、唯一習得でき なかったのがバウムクーヘンでした。熱い窯の前に立ち、生地を塗って一層一層焼き上げるという、単純な作業を延々と続けるのが、本当に熱くてつらくて嫌で 嫌で…」

ところが、平成12年に独立して自分の店「リッチフィールド」を持つとき一番こだわったのが、なぜかバウムクーヘンだった。

そして3年前、阪急百貨店に出店。「父は大阪・茶屋町で生まれ育ち、修業時代も大阪で過ごし、阪急百貨店にも出入りしていたと聞いていました。ゆかりのある大阪の地で父に学び、努力して完成させた菓子を売り、大阪の皆さんに食べてもらいたい、と思ったんです」

「マウントボコ」はふんわり軟らかい食感で、口に入れるとスッと消えるのが特徴だ。しっとりとした食感を生み出すのは、アーモンドの粉とシロップで練り込 んだ手作りのマジパン。また、焼き上げるとき、途中で1度窯から取り出し、完全に冷えるまで生地を寝かせてから再び窯に入れて2度焼きする。長時間窯に入 れていると水分が蒸発してしまうため、これを防ごうとひと手間かけたのだ。

「マウントデコ」はしっかりとした歯応えがあり、もっちりした食感で、かむほどに味が出る。職人が低温でゆっくりと時間をかけて一層一層焼き上げることで、強い生地に仕上がり、見た目にもダイナミックだ。

2つのバウムクーヘンの味の決め手は「バター」。ソフトなマウントボコはバターの甘味を生かし、優しい風味をプラスしている。ハードなマウントデコは焦がしバターの強い香りが特徴。風味が強く、インパクトのある味になっている。

(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)
「マウントボコ」(手前)は1本735円、「マウントデコ」は1本840円。輪切りタイプもある

【もうひとこと】
売上額の一部を、東北の植樹活動支援に充てているそうです。バウム(木)クーヘンが、森と海の育成に一役買っているんですね。

【住  所】大大阪市北区角田町8の7 阪急百貨店梅田本店地下1階
【電  話】06・6313・1620
【営  業】午前10時~午後9時(休業日は阪急百貨店梅田本店に準ずる
【最寄り駅】JR大阪駅、阪急・阪神・地下鉄梅田駅

msn産経ニュース 2012.11.10.10:00
産経関西 スイーツ物語 2012.11.10