【産経新聞社】関西甘味(スイーツ)図鑑(2013.6.1朝刊)

シェ・ナカツカの「箕面柚子ゼリー」

爽やかな酸味にほろ苦さも

大阪で柚子(ゆず)が採れることはあまり知られていないが、これを普及しようと産地である箕面市の箕面商工会議所が中心となってはじめたキャンペー ンが「箕面の柚子普及推進事業」、通称“ゆずプロジェクト”だ。同市に平成23年オープンしたシェ・ナカツカの中塚幸宏さん(35)は地元に密着した店作 りを目指し、早速このプロジェクトに参加し、箕面の柚子を使った商品の開発に取り掛かった。

箕面の柚子は“実生(みしょう)ゆず”と呼ば れる種から育てられたもので、結実するまで18年かかるといわれるが、寿命が長く病気にも強い。また大粒で皮が厚く、表面にデコボコがある。酸度や糖度が 高く、香りも通常の接ぎ木で育てられた柚子より格段に良いのが特徴だ。「今まで食したことのない深い味と強い香りを最大限に生かすスイーツを…と考え抜き ました」と中塚さん。素材をそのまま味わえる「箕面柚子ゼリー」が誕生した。

柚子のみずみずしさをイメージさせるジューシーなゼリーは、 フレッシュな果汁と信州・安曇野の天然水をたっぷりと使用し、固まるか固まらないかギリギリの固さにこだわっている。飲み下すようにスルリッとのどを通過 すると、鮮烈な柚子の香りがのどから鼻へと遡上(そじょう)する。生のまま刻んだ柚子の皮を感じると、清涼感が一気にあふれ出す。爽やかな酸味は決しての どを刺すことはなく、まろやかな果実味の後のほろ苦さが心地よい余韻となっている。

パッケージの「箕面の柚子」ロゴマークは、このプロジェクトによって誕生したプロダクツの証。店頭に並べると箕面土産として大人気となり、瞬く間に材料の柚子がなくなった。追加注文しても生産量が少ない箕面の柚子は手に入らず、苦慮の末、別の産地の柚子も使うことに。

「同じように作っても固まり具合や香りや酸味が違うんです」。箕面の柚子は酸味が強いためゼリーが固まりにくく、結果として極めて緩い状態となる。中塚さんは同じ価格で箕面と別の産地の柚子ゼリーを店頭に並べて販売している。「圧倒的に箕面の柚子ゼリーが売れています」

箕面の柚子が中塚さんの手によって、地元の名産品として確実に認識され始めていることがお客さんの反応からうかがい知れる。

(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)
「柚子ゼリー」1個230円

【もうひとこと】スルスルッと清涼感が駆け抜けます。これからの季節にピッタリですね。

【住  所】大阪府箕面市坊島4の10の4
【電  話】072・720・3636
【営  業】午前10時~午後8時(第3火曜定休)
【最寄り駅】阪急箕面線箕面駅

msn産経ニュース 2013.6.1
産経関西 スイーツ物語 2013.06.1 10:00